お子さんの歯並び・咬み合わせは乱れていませんか? 歯並びが決まる要素としては、「歯の大きさ」「あごの大きさ」「歯の生える位置」が挙げられます。さらにこれらは、遺伝的な要因と生活習慣などの後天的な要因によって影響を受けることが分かっています。
(1)遺伝的な要因 | (2)後天的な要因 |
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子どもの顔立ちが親に似るように、歯の大きさやあごの大きさ・形も親から子どもへ受け継がれる可能性があることが分かっています。 | 指しゃぶりや舌を出すクセ、虫歯などで歯を抜いたままにしたことなどが原因で歯並びが乱れることがあります。また最近では、食生活の変化によりあごの骨の発育が悪くなり、歯並びを乱しているという指摘もあります。 |
虫歯になりやすくなる
歯並びが悪いと、歯が重なったり傾いたりして、その部分に汚れが溜まりやすくなります。そういった箇所の汚れは歯ブラシではなかなか落としづらいため、虫歯になりやすくなってしまいます。
胃腸に負担がかかる
咬み合わせが悪いと、食べものをしっかり咬み切って(咬み砕いて)食べることができません。そのため、よく咬まずに飲み込んでしまうクセがついてしまい、胃や腸に大きな負担がかかります。
発音が悪くなる
歯並びが悪いと、声を出すときに空気が漏れてしまい、うまく発音できなくなることがあります。
精神的な負担になる
歯並びが悪いと、歯を見せて笑ったり話したりすることを無意識のうちに抑えてしまいます。外見にコンプレックスを持ってしまうことで内向的な性格になり、行動範囲が狭くなってしまうおそれもあります。
このように、歯並び・咬み合わせが悪いと心身に様々な悪影響が及びます。矯正治療は歯並びを改善して見た目をよくするだけでなく、虫歯や歯周病などのリスクを回避し、さらに体の機能面や精神面にも大きなメリットをもたらしてくれます。お子さんの歯並び・咬み合わせに不安があるお母さんは、一度、矯正治療をご検討ください。
子どものうちの矯正治療は、歯の生え替わりやあごの骨の成長を利用しながら進めることができます。子どものうちに矯正治療をはじめることで得られるメリットは以下のとおりです。
矯正装置を使用し、あごを広げて成長を促すことで永久歯の生えるスペースを確保でき、抜歯の可能性を減らすことができます。成人の場合はすでにあごの成長が終わっているため、永久歯を抜いてスペースを確保する場合が多々ありますが、あごが成長過程にあるお子さんの場合は歯を抜かずに治療できる可能性が高くなるのです。
乳歯を抜くタイミングや乳歯の形を整えたりすることで、正しくない方向に生える可能性のある永久歯を理想的な位置に生えさせることができます。きちんとものを咬むことができる、理想的な咬み合わせにすることができます。
あごの位置にゆがみがあり、咬み合わせが乱れている場合、放置することでさらにズレが生じるケースがあります。小児期は、咬み合わせを改善することでズレたあごの位置を改善しやすく、さらに成長過程にあるうちに改善することで、あごの正常な成長を促進できます。
治療後に矯正装置を外すと、歯は元の位置に戻ろうとします。この現象を「後戻り」と呼びます。小児期に矯正治療をして、その後骨格の成長が終わることで歯が理想的な位置に安定するため、後戻りを最小限に抑えることができます。
矯正治療は、歯科医院に行ってすぐに開始するわけではありません。しっかりとお子さんの歯並びを把握したうえで、治療できるかどうかの判断をしてから治療に入ります。